■不当解雇をされた場合の対処

不当解雇をされた場合の対処

1 具体例

 

「いままでミスをしたこともないのに,「ミスが多すぎるからクビだ!」と言われて解雇されてしまった…。」

非がない,またミスがあっても些細なことにすぎないにもかかわらず,突然に解雇を言い渡されてしまうようなケースもあります。

このように解雇を言い渡された場合,どのように対処することができるでしょうか。

2 解雇の種類

解雇とは,使用者による労働契約の一方的な解約を言います。
労働者側の承諾は必要とされません。

解雇は,以下の4種類に整理することができます。

不当解雇対処図1

どのような解雇かによって,解雇が有効かどうかの要件が異なります。

そこで,まずは今回言い渡された解雇がいずれにあたるのかを検討することが重要です。

3 解雇規制

解雇は使用者による一方的な労働契約の解約です。
労働者にとっては,使用者の都合だけで突然仕事を失うことになってしまい,非常に不利益の大きい制度です。

そこで,法令上,解雇は自由にできないよう制限が設けられています。

以下では,代表的な制限規定を紹介します。

(1) 労働契約法16条(解雇権濫用)による制限

労働契約法上,「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合には,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労働契約法16条)と規定され,解雇権濫用法理が明文化されています。

この規定は,解雇の種類に関わらず適用されます。

(2) 個別法令による解雇制限

労働基準法上,業務上の傷病による休業期間及びその後の30日間は解雇できないと規定されています(労働基準法19条)。

また,産前産後の女性についても,一定期間は解雇できないと規定されています(労働基準法19条)。

このように,労働基準法で保護されているほか,パート法や公益通報者保護法,雇用機会均等法,育児介護休業法などによっても解雇から保護される場合があります。

(3) 就業規則,労働協約の解雇条項の拘束力

就業規則や労働協約に,解雇に関する手続条項が定められている場合,これらの手続を踏まないで行なわれた場合には解雇の無効を争うことが考えられます。

(4) 解雇予告義務

また,使用者が労働者を解雇しようとする場合,少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。

30日前に予告をしない使用者は,30日分以上の平均賃金を支払わなければならないと規定されています(労働基準法20条)。

4 解雇に対する対処の仕方

(1) 解雇理由の特定

まず,解雇理由を特定する必要があります。

なお,当初労働者に対して使用者が主張していた解雇理由が,弁護士が代理人として入ると,別の理由が追加されたり,変わってしまったりすることもあります。
できれば事前に書面で解雇理由を明らかにさせる等の対応をしておくと良いでしょう。

(2) 退職を前提とした行動を控える

また,退職を前提とした行動をせず,今後も就労する意思があることを示した方がよいと言えます。

例えば,退職金を請求することが典型例です。
このような行動をとると,使用者側から,労働契約の解約申入を承諾したものとして,合意解約の成立が主張されることがあります。

(3) 解雇の有効性の争い方

解雇の有効性を争う方法としては,以下の方法が考えられます。
それぞれメリット・デメリットがありますので,どの方法を選択することが良いのかは,慎重に検討する必要があります。

不当解雇対処図2

5 解雇を本訴で争う場合

本訴で争う場合,主に請求する内容は以下のように整理できます。

① 地位確認

解雇が無効であり,現在の労働者としての地位があることの確認を求めます。

② 賃金請求

また,解雇が無効となれば,解雇が言い渡されてから現在まで未払いとなっていた賃金の支払義務を使用者側は負うことになります。

したがって,使用者に対する賃金請求を行なうことが可能です。

③ 損害賠償請求

解雇の違法性が大きい場合には,使用者に対し,精神的苦痛に対する慰謝料として損害賠償請求をすることも考えられます。

但し,単に解雇が無効であるというだけでは,直ちに損害賠償請求が認められるわけではないことに注意する必要があります。

6 解雇を仮処分で争う場合

また,仮処分申立をして解雇の有効性を争うという方法もあります。

仮処分申立では,主に以下の点について請求することになります。

① 地位保全仮処分

労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めることを求めます。

② 賃金仮払仮処分

賃金の仮払いを求めるものです。

7 解雇を労働審判で争う場合

労働審判でも,本訴と同じような内容を請求することができます。

また,労働審判は原則として3回以内の期日で審理が終結するので,スピーディーな解決ができるというメリットがあります。

8 解雇を争う方法の選択(交渉,本訴,仮処分,労働審判)

それぞれの方法にメリット・デメリットがありますが,スピーディーな解決を図ることができるとともに,結果に不服があった場合には本訴に移行するという途もある「労働審判」が,近時多く利用されるようになってきています。

もちろん,個別のご相談内容によって,どの方法が希望する解決にとって適切な方法かは変わってきます。
この点については,弁護士とよく相談して決めた方がよいでしょう。

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