■労働者側に落ち度があるという理由での解雇の対処

労働者落ち度
 

1 解雇の有効性の判断基準

勤務成績が悪い,怪我によって働くことができない等,労働者側に原因があるということで解雇される場合,解雇が有効かどうかは解雇権濫用法理(労働基準法16条)に照らして判断されます。
 
ところで,労働基準法16条は,客観的合理性があるかどうか,社会的相当性があるかどうかによって解雇の有効性を判断するとありますが,結局のところは各事案における諸事情を総合考慮して判断されています。

したがって,ご相談の案件に応じて個別に判断するしかありません。
 

2 労働能力や適正の欠如等を理由とする解雇の場合

多くの会社では,就業規則に解雇事由を規定しています。
 
そして,解雇事由として,労働能力や適正の欠如が認められる場合,というものを掲げていることがあります。
このような場合,解雇理由として,労働能力や適正の欠如を主張されることがあります。

それでは,どのような場合に労働能力や適正が欠如しているといえるのでしょうか。
この点については,統一的な判断基準を示すことはできず,個別の相談案件に応じて判断するしかありません。
 
但し,労働能力や適正が少し劣るというだけでは足りず,著しく劣るとまで言える必要があります。
また,能力や適正に問題がある場合であっても,いきなり解雇するのではなく,まずは教育訓練や本人の能力に見合った配置転換をするなど,解雇せずに済むための努力をすることも必要とされます。
 
したがって,このような事情がなければ,解雇は無効であると争っていくことが考えられます。
 
 

3 私傷病による能力欠如を理由とする解雇の場合

労働者側に病気や後遺症があるためにこれまでの職務に復帰することが困難な場合,労働者の労務提供不能や労働能力・適正の欠如を理由として解雇される場合があります。

多くの会社では,労働者の私傷病による欠勤が一定期間以上にわたる場合,休職とした上で,休職期間満了時点でも復職が困難な場合には解雇としたり,休職期間満了をもって退職と扱う旨の就業規則がおかれていたりします。

そこで,このような就業規則に該当するかどうかが争点となることがあります。
 
このようなケースでは,そもそも休職期間満了時点において,本当に復職することが不可能なのかどうかが問題となります。
また,休職期間満了時に,従前の業務はできないとしても,労務提供はできる場合に,即座に解雇する(退職扱いとする)ことが許されるかどうかも問題となります。
 
 

4 非違行為を理由とする解雇の場合

また,職務懈怠や業務命令違反,職場規律義務違反等,労働者の非違行為を理由として解雇される場合があります。
 
このような場合には,そもそも非違行為があるのかどうか,また非違行為があるとしても適正な手続がとられたのかどうか(例えば,非違行為について弁明の機会が与えられたかどうか)等を検討する必要があります。

 
【参考文献】労務相談実践マニュアル 227頁〜
 

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