倒産した場合の賃金確保

倒産した場合の賃金確保
 

第1 会社が倒産して困ってしまった方へ

 

「会社が突然倒産してしまった。すでに未払い給与が3ヶ月もあるのに…。」

「会社の経営が危ないと聞いているけれど,退職金はどうなる…。」

 
不景気が長期化する昨今,ご自分のお勤め先もいつ倒産するかは分かりません。

ある日,突然に社長から倒産を言い渡され,途方にくれてしまう…
こんなことのないよう,会社が倒産する場合の対策を検討しておきましょう。
 

第2 倒産の場合に請求できる賃金等

そもそも,会社が倒産する場合に請求できるお金にはどのようなものがあるのかを整理しておきましょう。

具体的には,以下のようなものが挙げられます。

① 退職時までの未払賃金,賞与
② 解雇予告手当
③ 退職金

また,このほかに,会社に預けたお金(社内預金等)があれば,その性質(強制的か任意的か)によって違いはあるものの,倒産時にも請求できるお金と言えます。
 

第3 倒産する前の賃金確保

では,会社が倒産しそうだということが分かってきた場合,労働者としてはどのような対応が考えられるでしょうか。

まず,法的手段によらない方法として,①交渉が挙げられます。
経営者と話し合い,任意で支払に応じてもらうことが最も簡便かつ安価な方法とえます。

また,交渉の延長ですが,場合によっては②債権譲渡を受けておくという方法も有効です。
具体的には,労働者が使用者から売掛金等の債権を譲渡してもらうというものです。

もっとも,このような方法ではうまく行かない場合には,法的手段を検討することになります。
法的手段としては,③保全処分としての仮差押えのほか,④先取特権の実行としての強制執行も考えられます。

このように,①〜④の手段が考えられますが,いずれの手段もメリット・デメリットがあります。
具体的な事案によってどの方法が妥当かは変わってきますので,まずは弁護士に相談した方が良いでしょう。
 

第4 倒産した後の賃金確保

会社が倒産してしまった場合でも,全く打つ手がないわけではありません。

法律上,労働債権は会社が倒産した場合であっても,他の債権よりも優先して回収できることが認められています。

会社の倒産手続の種類によって異なりますが,各倒産手続にあわせて労働債権の優先的回収を図っていく必要があります。
 

第5 未払賃金の立替払制度

また,会社が倒産した場合に備えて,「未払賃金の立替払制度」があります。

これは,企業が「倒産」したために,賃金,退職金の支払いが受けられない労働者に対して,その未払賃金,退職金の一定範囲について独立行政法人労働者健康福祉機構(旧労働福祉事業団)が事業主に代わって支払う制度を指します。

この制度によった場合,立替払の額は,未払賃金総額の80%になります。
この制度の利用も是非検討すべきです。
 
【参考文献】労務相談実践マニュアル 46頁〜
 

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