■辞めさせてくれない場合の対処

辞めさせてくれない場合の対処
 

1 具体例

 

「やめたくてもやめさせてくれない…」

「いま会社を辞めるのは無責任だと責められている…」

「辞めるのならば損害賠償請求をすると言われている…」

 
不景気が長期化する昨今,就職が厳しいだけでなく,辞職することも厳しい状況が増加しています。

様々な事情によって会社を辞めることを選択しようとしても,会社がそれを許さないというケースは,残念ながら散見されます。
 
ですが,辞職したいと言っている労働者を,いつまでも会社が引き止めることはできません。
労働者には,辞職の自由があるのです。
 

2 辞職の自由・民法の定め

辞職は原則として自由ですが,法律上,以下のような規定があります。
 
これらの規定には留意が必要です。
   

(1) 無期雇用の場合

辞職は,解雇と異なり,正当な理由は必要ありません。
もっとも,原則として2週間前の予告が必要となります(民法627条)。
 
辞職の意思表示が使用者側に到達してから2週間後に労働契約が終了することになります。
 
それでは,予告期間が2週間以上に設定された就業規則や労働契約の定めがある場合はどうでしょうか。
この場合,学説は分かれているところではありますが,ある程度の期間(例えば1ヶ月程度)を設定することは有効とされる可能性はあります。
   

(2) 有期雇用の場合

 
ア 損害賠償責任の可能性も
有期雇用の場合,無期雇用とは異なり,契約期間中の辞職については,「やむを得ない事由」(民法628条)がある場合に限り,直ちに解約することができます。
 
但し,「やむを得ない事由」を故意又は過失によって生じさせた当事者は,相手方に対して,解約により生じた損害について賠償責任を負う可能性があります。

なお,「やむを得ない事由」がないにもかかわらず辞職の意思を明らかにし,以降実際に就労しなかった場合も,労働者の意思に反して労働を強制することはできないので,損害賠償の問題となります。

 
イ 「やむを得ない事由」とは何か
このように,「やむを得ない事由」があるかどうかによって,契約期間中での解約が認められるかどうかが判断されます。
 
それでは,「やむを得ない事由」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。

この点は実務上もあまり議論されていないところではありますが,辞職が原則として自由であることからして,「やむを得ない事由」は,就業環境や労働者の健康,生活環境も加味して,緩やかに解されるべきであると思われます。

   
ウ 有期雇用が継続された場合
有期雇用が期間満了後も事実上継続された場合,以前の契約と同一条件で更新されたものと推定されます(民法629条1項本文)。
 
ところで,この場合の契約期間はどうなるかが問題となりますが,期間の定めがなくなるという見解もあれば,以前と同じ期間の定めで更新されるという見解もあります。

 
【参考文献】労務相談実践マニュアル 227頁〜
 

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