ご相談
会社の従業員が工場で怪我をした際に、労災保険を使って対応しました。しかし、その後損害賠償の請求がありました。労災保険が賠償された後に、なぜ会社が責任を負う必要があるのか疑問に思います。
重要なポイント
- 労災保険で迅速な対応は大切だが、安全に対する配慮が不足している場合、民事上の賠償責任が問われることがある
- 賠償責任の額が増えることや会社のイメージへの影響も考慮し、労災問題には早めに専門の弁護士に相談することが重要
特に多い相談の業種
- 建設業、製造業、情報通信業、運輸・郵便業
- 卸売・小売業、金融業・保険業、不動産・物品賃貸業
- 宿泊・飲食業、教育・学習支援業、医療・介護福祉業、サービス業
- 長時間労働による労災の問題もあるため、多岐にわたる業種で相談が寄せられています。
労災保険の詳細
労災保険の内容
業務による労働者の怪我や病気などに対して、多くの損害がカバーされる。
- 療養補償給付:診察や薬、手術などの治療費用
- 休業補償給付:平均賃金の60%が支給される
- 障害補償給付:治療後の身体の障害に対する支給
- 遺族補償給付:労働者の死亡による配偶者や子供への支給
- 葬祭料給付:葬式費用の支給
- 傷病補償年金:治らない障害に対する給付
- 介護補償給付:介護が必要な場合の費用支給
会社側の労災対応
労災保険への加入は会社の義務であり、怪我をした労働者が治療に専念できるように迅速な手続きが必要
- 「労災隠し」は許されず、積極的な協力が必要
以上の点を考慮して、労災保険の適切な管理と早期の専門家への相談が重要であることがわかります。
会社にとって労働災害、一般に労災と呼ばれるものは深刻な問題です。労災が起きた場合、以下のようなリスクが生じることが一般的です。
多額の賠償責任
労働災害が発生すると、会社は労働者から多額の損害賠償を請求されることがあります。多くの人が、「労災保険でカバーされるのでは?」と考えることが一般的ですが、労災保険の支給範囲は限られています。例えば、慰謝料が支給されない、休業補償が全額ではない、将来の収入補填がないなど、完全に損害をカバーできないため、会社は大きな賠償責任を負うことになることがあるのです。
企業イメージの低下
企業の安全管理が厳しく見られる昨今、労災が起きると企業のイメージが低下することも珍しくありません。特に労働者が過労死や自殺に至った場合、企業は社会的な非難を受けることがあります。これは大手企業に限らず、小規模企業にも言えることで、労働安全に問題があるというイメージは長く残ることがあるのです。
労災を未然に防ぐためには、安全衛生管理の徹底が重要です。最新の保険商品が民事賠償責任をカバーするものも出てきていますが、それだけでは十分ではありません。会社としては、安全配慮義務を尽くし、事故の防止に全力を尽くすべきでしょう。専門家のアドバイスを受け、体制を見直していくことも重要な一歩です。
労災事故が特に起きやすい業種の企業の方々には、弁護士への相談をお勧めします。事前予防のための弁護士の利用や、労災事故が起きた場合の弁護士のサポートが不可欠です。リスクを避け、適切な労働安全管理を行うために、労働実務を踏まえた判断・手続きが必要です。法的な労務管理の専門家、労働弁護士に相談することが、そのための最良の方法でしょう。
企業のために労使トラブルを防ぐ支援を行うサイトや、労使トラブルを万全に防ぐための顧問契約などもありますので、これらのサービスを活用することも選択肢の一つかもしれません。何よりも大切なのは、労働災害を未然に防ぐための体制作りと、社員一人一人の健康と安全への配慮です。お気軽にご相談ください。
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