労働時間の管理(使用者側)

相談内容

当社では、労働時間の管理方法を従業員の自己申告制にしており、タイムカードは導入していません。

実際には終業時間までに仕事が終わらず、残業等も常態化しているのですが、管理職だけでなく部下も残業申告をしていません。

もっとも、自己申告制を導入していますし、各従業員の判断に任せているので、特に問題はないと考えています。

このような状況ですが、残業時間の記録もありませんので、このままでもよいでしょうか。

回答

  • 企業(使用者)には、従業員の労働時間把握義務があります。
  • 労働時間の管理方法として自己申告制を採用しているとしても、企業は従業員の労働時間の実態調査を行い、残業が発生していないか確認する必要があります。
  • 長時間労働を是正せずに放置することは、残業代請求のリスクや労働基準法違反のリスクに繋がりますので、一刻も早く改善するべきです。

労働時間の管理に関する相談が多い業種

退職勧奨に関するご相談は幅広い業種から寄せられていますが、特に以下の業種から多い傾向にあります。

  • 運送業
  • 建設業
  • 情報通信業
  • IT業
  • 金融業・保険業
  • 不動産業
  • 宿泊業
  • 飲食業
  • 教育関連業
  • 医療・介護事業
  • サービス業

これらの業種は、平日の長時間労働だけでなく、深夜・休日労働なども慢性化しがちであるほか、フレックスタイム制や変形労働時間制等の労働時間管理の方法を試みたりしている結果、労働時間の管理がうまくできていないことが少なくありません。

労働時間・休日・休暇の扱いは、労働時間管理の中でも特に重要です

労働時間・休日・休暇の扱いは、実労働時間の管理だけでなく、従業員の健康管理にも直結する重要な問題です

最近では、労働時間管理のあり方について、労働基準監督署も積極的に調査する事例が見られるようになってきました。

万が一、企業が誤った労働時間管理を行い、未払残業代の問題や、従業員の過労死等、深刻な健康リスク・労働災害が発生した場合、メディア報道やSNSによってまたたく間に拡散し、企業の深刻な信用リスク(レピュテーションリスク)がもたらされることになります。

長時間労働の是正は、いまや一般に広く知れ渡った関心事となっており、求職者の重要な応募条件となっているほか、企業の体外的な評価にも関わる事項となっています

企業(使用者)側としては、労働時間・休日・休暇等について、正確な理解をした上で、適切に管理できる体制を構築する必要があります。

労働時間・休日・休暇の適切な管理の必要性

使用者の労働時間把握義務

企業(使用者)は、従業員の労働時間を把握する義務があります。

働き方改革関連法が施行されている昨今において、企業(使用者)の労働時間把握義務は、より厳しくチェックされることになります。

企業(使用者)として、労働時間把握義務があることを踏まえ、適正に従業員の労働時間を把握できる体制の構築と運用をしなければなりません。

始業・終業時刻の確認及び記録

企業(使用者)は、従業員の始業・就業時間を確認し、これを記録する必要があります。

始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法

従業員の始業・終業時刻の確認・記録の方法は、原則として以下の方法による必要があります。

(1)使用者が自ら現認する

企業(使用者)側で、従業員の始業時間と就業時間を一人一人全て確認する方法です。

もっとも、すべての従業員に対して使用者が自ら現認することは非現実的です。

(2)タイムカード、ICカード等の客観的な記録で確認すること

多くの企業(使用者)で採用されている方法が、②タイムカード等の記録による管理です。

(3)自己申告制による方法

自己申告制は、(2)の方法をとることができない場合に行われる方法です。自己申告制を採用する場合は、次の点に注意が必要です。

① 十分な説明

自己申告制の導入前に、従業員に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行う必要があります。適正な申告を理由として不利益処分を行うことは許されません。

② 必要に応じた実態調査

自己申告により把握した労働時間が、実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を行う必要があります。

③ 労働時間の適正申告を阻害しないこと

労働時間の適正な申告を阻害する目的で、時間外労働時間数の上限設定をすることはできません。

なお、自己申告制を導入する場合、会社が自己申告の内容を指示して、残業時間の過少申告を強いるようなことがあれば、違法となる点にご留意ください。

当然、未払残業代の請求を受けるリスクもあります。

(4)労働時間の記録に関する書類の保存

企業(使用者)は、労働時間の記録に関する書類を3年間保存する義務があります(労働基準法109条)。

(5)労働時間を管理する者の職務
事業場で労務管理を行う部署の責任者は、事業場での労働時間の適正な把握など、労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図る必要があります。

(6)労働時間短縮推進委員会等の活用

企業(使用者)は、事業場の労働時間の管理状況を踏まえて、必要に応じて労働時間短縮推進委員会等を設置して、労働時間についての検討を行うことが必要です。

労働時間の管理でお悩みの企業は労働問題に詳しい弁護士にご相談ください

以上のとおり、労働時間の管理を適正に行うことは、従業員の実労働時間を把握するだけでなく、健康管理にも直結する重要な事項です。

労働時間の管理を適正に行うことができない場合、残業代請求のリスクや、労働基準法違反のリスクを招くことにもなりかねません。

労働時間の管理を適正に行うためにも、使用者側労働問題に特化した弁護士に相談することをお勧めします。

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