ケース別労働問題対応サービス その6

団体交渉を申し込まれた場合

近時の労働紛争は、集団労働紛争から、個別労働紛争へと推移してきており、労働組合による集団労働紛争は減少傾向にあります。

もっとも、争議行為を伴わない集団労働紛争(団体交渉等)は、現在でも一定数は起きており、今後も労働組合からの団体交渉の申入等の対応が必要となることは変わらないことが予想されます。

特に、合同労組やユニオンからの団体交渉の申入に対しては、適切に対応する必要があります。

 

1 労働組合とは

労働組合法では、労働組合とは、「労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」(労働組合法2条)と定義されています。

なお、労働組合法上の労働組合に該当しなくとも、労働組合として法的保護の対象となることにはご留意ください。

労働組合は、その性質に応じて幾つかの類型に分類することができます。

  1. 職業別労働組合
    ・同じ熟練職種の労働者が地域別に結集する組織
  2. 産業別労働組合
    ・同一産業に属する労働者が加入する組織
  3. 企業別労働組合
    ・特定の企業に属する労働者を職種の別なく組織した労働組合
  4. 一般労働組合
    ・職種・産業の別を問わず、広い地域にわたって労働者を組織する労働組合
    ・合同労組・ユニオン

 

2 合同労組・ユニオンとは

労働組合の内、合同労組(ユニオン)とは、企業別組合を組織しにくい中小企業労働者が一定地域ごとに個人加盟原則によって加盟できる労働組合をいいます。

合同労組(ユニオン)の特徴は、①一定の地域を活動の対象としている、②中小企業の労働者の加入が多い、③1人でも加入できる、④労働者であれば雇用形態に関係なく加入できる、等が挙げられます。

 

3 団体交渉への対応

労働組合法上の労働組合に対しては、不当労働行為が禁止されます(労働組合法7条)。

不当労働行為として禁止される行為には、以下の類型があります。

  1. 組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止(第1号)
  2. 正当な理由のない団体交渉の拒否の禁止(第2号)
  3. 労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助の禁止(第3号)
  4. 労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱いの禁止(第4号)

 

このように、労働組合からの団体交渉の申入に対し、正当な理由なく拒否することは、不当労働行為として禁止されることになります(労働組合法7条2号)。

合同労組(ユニオン)から団体交渉の申入があった場合、突然のことでどのように対応したら良いのかわからずに回答を先延ばしにしたり、面倒になって合同労組の要求をすべて飲んでしまったりするほうがよいと考える企業もあるかもしれません。

ですが、団体交渉の申入を無視することはもちろん問題ですが、合同労組の要求をすべて受け入れてしまうことも、本来であれば企業側が譲歩する必要のないことまで受け入れてしまうことになりかねず、妥当とは言えません。

例えば、就業時間中の団体交渉の申入に応じる義務があるのか、団体交渉の場所は組合事務所や会社施設で行う必要があるのか等、労働組合側の要求がすべて妥当とはいえないことまで要求されることも少なくありません。

団体交渉の申入があった場合、どこまでは応じ、どこまでは拒否することができるのか等は、労働組合紛争の知見が必要となります。

このように、団体交渉の申入があった場合には、労働問題に詳しい弁護士への相談をご検討ください。

団体交渉における誠実交渉義務の3つのポイント

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