従業員に訴えられた場合の初動対応②(あっせん申立)

相談内容

当社には、以前からミスばかり繰り返す従業員Bの対応に困っていました。当社としても、Bが早く仕事をミスなく対応できるように成長してもらいたいと思い、繰り返し根気強く指導し続けてきました。

ところが、ある日、Bが突然に出社をしなくなったのです。どうしたことかと思い、直属の上司からもBへ連絡をとってもらうようにしましたが、連絡も一方的に拒否されてしまいました。Bがどうしたのだろうかと考えていたところ、突然、労働局の紛争調整委員会から、あっせんの案内が届きました。

Bは、当社からパワハラ被害を受けたと訴えているようです。当社としては、どのように対応すればよいのでしょうか。

回答

  • あっせん手続は、法的強制力はなく出席の義務はありませんが、労働問題の早期解決のために対応することも考えられます。
  • 労働局のあっせん手続は、裁判よりも手続が簡易かつ迅速という特徴がありますが、最初から詳細な経緯や解決方針を確認されるため、事前によく準備して臨む必要があります。

あっせん申立がされた場合の初動対応

従業員からあっせん申立がされた場合、従業員との直接交渉の段階よりも、さらに労働問題の深刻度が増したということができます。

もっとも、あっせん申立は、裁判手続と異なり、あくまでも労使の話し合いの延長にあり、簡易かつ迅速に手続をすすめることができるため、うまく活用すれば労働問題を早期に解決できる可能性があります。

あっせん申立がされた場合のポイントは以下のとおりです。

あっせん手続には参加が必須ではない

まず、あっせん申立をされたからといって、会社側はあっせん手続に参加しなければならないわけではありません。

あっせん申立がなされると、会社側は参加しなければならない義務があるのではないかと誤解される企業もありますが、決して参加を強制されることにはなりません。

会社側で、あっせん手続に参加するかどうかを判断することが可能です。

あっせん案を受諾する義務はない

次に、会社側があっせん手続に参加した場合、紛争調整委員会等からあっせん案を提示されますが、あっせん案を受諾しなければならない義務はありません。

したがって、会社側としても、あっせん案が自社に不利だと判断すれば、あっせん案を拒否することも可能です。

このように、あっせん手続に参加したとしても、必ずしも会社側にとって不利なことばかりというわけではありません。

あっせん手続を利用して早期に労働問題の解決を図ることもできる

さらに、あっせん手続は、裁判手続と比べて、簡易かつ迅速に進むという特徴があります。

会社側としてはあっせん手続をうまく利用することで、労働問題を早期に解決することが期待できます。

あっせん手続に参加する場合には詳細な準備が必要

一方、会社側があっせん手続を利用して労働問題を解決しようとする場合には、第1回期日において詳細な主張や立証をすることが求められます。

したがって、あっせん手続での解決を希望する場合には事前に充分な準備をしておく必要があります。

あっせん申立をされた場合には労働問題に詳しい弁護士にご相談ください

あっせん手続は、法的強制力はなく出席の義務はありませんが、労働問題の早期解決のために対応することも考えられます。

労働局のあっせん手続は、裁判よりも手続が簡易かつ迅速という特徴がありますが、最初から詳細な経緯や解決方針を確認されるため、事前によく準備して臨む必要があります。

あっせん手続に適切に対応するためには、労働問題に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

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