解雇の種類

相談内容

会社の立場として、従業員の解雇を考えています。ただし、解雇の理由は、業績不振や業務態度の問題など、多岐にわたります。

解雇にはさまざまなタイプがあると聞きましたが、解雇の種類によって法律の適用が異なるのでしょうか。

回答

まず初めに、会社が解雇を検討するかどうか、そしてその理由を特定することが重要です。

解雇には「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」という3つのタイプがあり、それぞれの妥当性が異なります。

解説

解雇とは何か~自主退職との違い

解雇の意味

解雇とは、雇用主が一方的に労働契約を終了させることを指します。反対に、労働者が自発的に退職する場合は解雇ではありません。

解雇には通知書や理由の証明書が提供されることがあり、これらの書類がある場合は解雇が明確です。しかし、実際には「解雇」と明言されていなくても、労働者が解雇されたと主張するケースも多いです。

解雇と自発的退職の区別

以下の場合を考えてみましょう。

  • 例1)会社が急に「明日から出社しなくていい」「君の仕事はもうない」と告げて仕事を外された。
  • 例2)会社が「もう君を雇い続けることは難しい。辞めるつもりなら辞めろ」と言って、労働者が会社に出てこなくなった。
  • 例3)労働者が退職願を提出しましたが、「失業保険のために会社都合退職にしてほしい」と要望し、会社が離職の通知を送りました。

例1の場合、会社の強制力が強いため、解雇とみなされることが多いです。

例2は微妙です。労働者側にも退職の意思があり、解雇とは言えない可能性もあります。状況によって異なります。

例3の場合、労働者の退職意志は明確ですが、解雇の通知がどのように扱われるかは難しい問題です。

解雇されたか不明な場合は弁護士に相談!

会社から無理に仕事を止められた場合は、必ず解雇通知書や解雇理由証明書の提供を求めるべきです。

特に、解雇理由証明書は労働基準法の規定で提供が求められています。たとえそうした書類がなくても、対立を解決する手段は存在します。

ただし、状況は複雑ですので、労働問題に詳しい弁護士に相談することが大切です。

解雇の種類

解雇には「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」という3つのタイプがあります。
それぞれの解雇には異なる理由や性格があり、そのために法律上の条件も違います。

これから詳しく見ていきましょう。

普通解雇とは

普通解雇は、労働者の業務遂行の不履行を主な理由とした解雇の一種です。

通常、就業規則に違反した場合に行われます。以下にいくつかの種類を挙げてみますが、詳細は参考サイトをご覧ください。

  • 労働能力の低下
    「身体・精神的な問題で仕事ができない場合」が一般的です。
  • 能力不足・成績不良・適格性不足
    仕事を遂行するための能力や適格性が不足している場合の解雇です。
  • 業務怠慢・勤務不良
    無断欠勤、遅刻・早退、業務への取り組みや態度の問題、チームでの協調性の欠如などが解雇の理由になることがあります。
  • 職場の規律違反・不正行為・業務命令違反
    日常業務の指示に従わなかったり、命令に背いたりする場合に問題が生じます。

整理解雇

整理解雇は、会社が経営課題や合理化のために人員を削減するために行われる解雇です。いわゆるリストラの一環です。

普通解雇とは異なり、無実の労働者でも会社から一方的に解雇されるため、その条件は厳格です。

整理解雇の妥当性を判断するためには、通常以下の4つの要件を満たす必要があります。

単に「経営が苦しいから解雇」というだけでは、要件を満たすのは難しいでしょう。

  • 人員削減の必要性
    余剰人員の削減が必要かどうかを検討します。近年の判例では、倒産の危機まで迫っている必要はないとされています。
  • 解雇回避の努力
    解雇は最終手段です。会社は、解雇を回避するための努力をしなければなりません。
    具体的には新規採用停止、給与削減、時間外労働の削減、希望退職募集などがあります。
  • 選択された解雇対象の妥当性
    偏見に基づいて選ぶことは許されません。選択は合理的である必要があります。勤務評価や影響の少ない人物を選ぶことが妥当です。
  • 労働者への説明・協議
    会社は、解雇方針や理由などを労働者に説明する義務があります。

懲戒解雇

懲戒解雇は罰としての解雇です。普通解雇とは異なり、契約違反が主な理由です。
会社からの制裁として、従業員が解雇されることで、重大な影響を及ぼします。

懲戒解雇の効力を認める判断は普通解雇に比べて厳格ですので、懲戒解雇の検討には専門家の助言が重要です。

解雇を検討する企業は、早めに弁護士に相談を

解雇の判断は慎重に

解雇は生活に大きな影響を与えるため、慎重な判断が必要です。

また、無効な解雇に加えて、未払いの賃金を請求される可能性もありますので、経済的な影響も大きいです。

しかし、問題があっても、安易に解雇するのは危険です。数百万円以上の支払いが必要になるケースもあります。

専門家に相談する価値あり

先述のように、各解雇の種類は事実を検討し、契約書や就業規則などに基づいて法的な判断をすることが不可欠です。

解雇を検討する際は、事前の準備が必要ですが、労務問題に精通した弁護士の指導の下で適切な解雇が可能です。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、解雇理由が正当な場合、適切なプロセスを実施し、有効な解雇が裁判所で支持されるケースが多数あります。

解雇を検討する企業は、労働問題の専門家である弁護士に早めに相談することをお勧めします。

 


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