採用内定の取り消しに関する労務トラブル

相談内容

私は人事部で新卒採用の担当をしています。内定を出していたAさんがSNSで不適切な発信をしていたことが分かり、内定を取り消すことにしました。しかし、Aさんから内定の取り消しを問題にして請求される可能性があるとメールが届きました。採用内定の取り消しは違法なのでしょうか?

回答

採用内定によっては労働契約が成立しています。もしその内定を正当な理由なく取り消す場合、違法な内定の取り消しとなる可能性があります。Aさんが労働者としての地位を確認し、内定の取り消しを問題にして請求する可能性があります。さらに、慰謝料などの賠償請求も考えられます。

解説

1. 採用内定と労働契約の関係

採用内定は、法的には「始期付解約権留保付労働契約」とされます。つまり、採用内定によって労働契約が成立し、内定者も労働者とみなされます。内定が出されてから正式な入社日までの期間、内定者は一種の労働契約上の関係にあります。

2. 内定の取り消しは解雇に類似

採用内定の取り消しは、既に成立している労働契約を一方的に解約することになります。このため、解雇権濫用法理の規制が適用され、違法な内定の取り消しは認められません。内定者にとっては、突然の内定の取り消しは将来の人生設計に大きな影響を及ぼす可能性があります。

3. 取り消しの違法性と損害賠償

内定の取り消しには正当な理由が必要です。通常、内定通知書や誓約書に内定取り消しの取消事由が記載されています。内定取り消しの違法性は、その取り消し理由が客観的に合理的であり、社会通念上相当かどうかによって判断されます。違法な内定の取り消しに対して、内定者は労働者としての地位を主張し、損害賠償などを求める可能性があります。

4. 内定取り消しの検討と弁護士の相談

採用内定を取り消す際には、内定取り消しの取消事由が適用されるかどうかを慎重に検討する必要があります。特に、採用内定中の特有の取消事由が適用されるかどうかを確認することが重要です。弁護士の助言を受けながら、適切な判断を行うことが必要です。内定者との協議も重要であり、双方が納得する解決策を模索するべきです。

 

総合的に言えば、採用内定の取り消しは法的なリスクを伴う行為であり、適切な判断と弁護士のアドバイスを受けることが重要です。特に、採用内定に関する専門知識を持つ弁護士の助言を得ることで、違法性を回避し、適切な対応を行うことができるでしょう。

顧問契約・リーガルメディアのご案内

顧問契約サービスのご案内

当事務所は企業法務や労務管理に豊富な実績と専門知識を持っており、紛争の解決だけでなく予防策や制度設計のサポートも行っています。顧問契約サービスの詳細については、弊所ウェブサイトの下記をご覧ください。

【長瀬総合法律事務所の顧問サービスはこちら】

リーガルメディアのご案内

企業法務や労務管理に関連するお悩みは、当事務所が運営する「リーガルメディア」で詳細な情報を提供しています。

【企業法務リーガルメディアはこちら】

 


お問い合わせ|ご相談はお気軽に

【お問い合わせはこちら】

その他のコラムはこちらから

【人事労務コラム】


長瀬総合の顧問サービス

リーガルメディアTV|Youtube

お問い合わせフォーム

メルマガ登録

問い合わせフォーム

トップへ戻る

牛久本部電話番号リンク 日立支所電話番号リンク 水戸支所電話番号リンク 守谷支所電話番号リンク