試用期間中の社会保険の扱い

【質問】

最近は採用面接でも問題社員かどうかを見極めることが難しいため,試用期間を設定することにしました。

ところで,試用期間中には,健康保険・厚生年金保険の被保険者として扱う必要はあるのでしょうか。

 

【回答】

試用期間であっても,解約権留保付きとはいえ労働契約は成立しています。

したがって,試用期間中の社員に関する社会保険については,入社当日から被保険者として扱わなければならないことになります。

 

【解説】

1 試用期間の法的性質

試用期間には,本採用をするかどうかを判断しながら,本人の適性にあわせて配属先を決定するための期間という目的があります。

試用期間の法的性質については争いがありますが,最高裁は,就業規則の文言や試用期間中の処遇の実情などによるものの,「解約権留保付労働契約」と判断しています。

 

2 試用期間の長さと延長

試用期間中の社員の地位は,会社が解約権を留保しているとされるため,一般の正社員よりも不安定です。

したがって,試用期間の目的に照らして,必要以上に長い試用期間は許されないとされます。

試用期間は,その目的に照らして合理的な長さに制限されると考えられます。

それでは,どの程度の長さの試用期間であれば合理的として許容されるかということですが,これは個別の事案によって判断がわかれます。

一般的には,試用期間を3ヶ月や半年程度に設定することが多いと言えます。

なお,試用期間の延長については,就業規則等に定めがない限り,原則として一方的に延長することはできません。

 

3 試用期間中の社会保険

試用期間中であっても,解約権留保付労働契約が成立しているため,入社当日から社会保険の被保険者として扱わなければならないことになります。

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