Archive for the ‘コラム’ Category
【コラム公開】深夜労働・休日労働の割増率
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長瀬総合の法務コラムサイト「企業法務リーガルメディア」にて、使用者側の人事労務に関するコラムを公開いたしました。
■ 深夜労働・休日労働の割増率
従業員が夜間や休日に働いた場合、その労働には通常の残業代とは別の割増率が適用されます。深夜労働(22時~翌5時)や休日労働(法定休日における労働)には割増賃金の支払いが義務付けられており、その率は通常の時間外労働よりも高く設定されていることに注意が必要です。
本記事では、深夜労働・休日労働の割増率や、その計算方法、ダブルカウント(重複割増)の考え方などについてわかりやすく解説します。24時間稼働の業態や、シフト勤務を導入している企業は、ぜひ参考にしてトラブル防止にお役立てください。
【コラム公開】【下請法の基礎】下請負契約書作成で押さえるべき注意点と親事業者リスク回避策
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■ 【下請法の基礎】下請負契約書作成で押さえるべき注意点と親事業者リスク回避策
日本の取引慣行では、メーカーや大企業(親事業者)が中小企業や個人事業主(下請事業者)に業務を発注する形態が広く行われています。こうした構造で優越的地位を濫用して下請業者に不当な条件を押し付けることを防ぐため、下請代金支払遅延等防止法(下請法)が存在します。下請法違反は、公正取引委員会の勧告や違反公表といった行政処分を受け、企業イメージを損なうリスクが高いため、契約段階での留意が不可欠です。
さらに、下請負契約(特に製造業やソフトウェア開発など)では、納品・検収のトラブルや瑕疵担保責任(契約不適合責任)をめぐる紛争が生じやすいという特徴があります。本記事では、下請法の基本的な枠組みと、下請負契約書の作成・運用上の注意点を解説します。親事業者としてリスクを最小化し、適正な取引関係を築くためのポイントを押さえましょう。
【コラム公開】リスク管理と成功のカギ|契約書レビューで押さえるポイント
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■ 【代理店・フランチャイズ契約】リスク管理と成功のカギ|契約書レビューで押さえるポイント
商品やサービスを広く市場に展開するために、代理店契約やフランチャイズ契約を結ぶ企業は多く見られます。前者は企業(本社)が代理店を通じて商品を販売・サービス提供する形態、後者はフランチャイズ本部が加盟店にブランドやノウハウを提供し、加盟店がロイヤリティを支払う形態です。いずれもビジネス拡大には有効なスキームですが、一方で契約書の不備や権利義務の不明確さが紛争を生む原因となりがちです。
例えば、代理店契約では販売エリアや在庫リスク、売上ノルマなどをめぐるトラブル、フランチャイズ契約ではロイヤリティ算定やマニュアル順守義務、独立性をめぐる対立などが典型的です。本記事では、代理店契約・フランチャイズ契約をめぐる法的リスクと、その回避・成功のためのポイントを解説します。
【コラム公開】同一労働同一賃金のポイント:非正規社員との待遇差をめぐるトラブル回避策
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【コラム公開】就業規則違反と懲戒処分の適法性:トラブル回避のための運用指針と具体的事例
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【外国人雇用】在留資格・ビザ管理・実務手続きのポイント:適法な就労と企業リスク対策
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安全衛生管理と労災対応の実務:企業が知っておくべき予防策とトラブル対処法
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労働組合の結成上の留意点
Q&A
Q:労働組合とは何でしょうか?
A: 労働組合とは、会社で働く従業員たちが団結し、賃金や労働時間などの労働条件をより良くするために会社と交渉するための組織です。個人では言い出しづらい改善策や要望も、組織的に主張することで実現しやすくなります。
Q:労働組合を作るメリットはありますか?
A: 従業員同士が力を合わせて会社と交渉できることは大きなメリットです。個人では対抗しにくい「賃金の引き上げ」や「労働条件の見直し」などを、より対等な立場で話し合える可能性が高まります。
Q:会社側にとってはどうでしょうか?
A: 会社側にとっても、従業員の声を把握しやすくなるなどのメリットがあります。労務管理のリスクを早期に発見して改善策を検討できるため、結果的に会社の信頼性向上や組織力強化に役立つケースもあります。
本稿では、労働組合の作り方や必要書類、さらに「弁護士に相談するメリット」などについてご紹介いたします。
はじめに
本記事では、次のような内容を順を追って説明します。労働組合を作ることを検討中の方だけでなく、会社経営者や労務管理担当の方にも役立つよう解説します。
1. 労働組合とは何か?
労働組合とは、会社に勤める複数の従業員が中心となって結成し、賃金や勤務時間、その他の労働条件を改善することを目的として活動する組織のことです。個人で会社に給与アップなどを申し入れるのは心理的にも難しく、会社側からの不利益が心配になるケースが多々あります。しかし、労働組合であれば、「個」ではなく「集団の力」を活かして、より対等に交渉できる可能性が高まります。
- 労働組合法による保護
労働組合は、労働組合法という法律によって保護を受ける場合があります。会社との団体交渉に応じてもらえないときには、不当労働行為として労働委員会に救済を申し立てることができるほか、正当な争議行為ならば損害賠償責任を問われないなどのメリットを受けられます。 - 労働組合の自主性
労働組合として法的保護を受けるためには、自主的に組織・運営され、管理職(使用者の利益代表者)の参加や会社からの資金援助がないことなど、いくつか条件があります。これらの条件をクリアしていることで、法律上の保護対象として認められ、労働委員会への救済申立てなどが可能となるのです。
2. 労働組合を作る2つの方法
労働組合を作る場合、「法的保護を受ける労働組合として作る方法」と「任意の団体として作る方法」の2種類があります。
- 法的保護を受ける労働組合
労働組合法による保護を受けるためには、一定の要件を満たした上で労働委員会に届け出をし、審査を受ける必要があります。保護を受けることで、団体交渉や争議行為に関して強い法的地位が得られます。 - 任意の団体として作る労働組合(未届け出)
労働組合は、届け出の義務がないため、極端な話をすれば「サークル」や「同好会」のように自主的に集まって結成することも可能です。しかし、このように届け出をしていない場合、労働組合法上の手厚い保護を受けることは難しくなります。
3. 労働組合の資格審査について
労働組合法上の労働組合として認められるためには、「自主性」や「民主的運営」、そして規約に必要事項を記載していることなどの要件を満たし、都道府県労働委員会で資格審査を受ける必要があります。
自主的な労働組合とは
- 組織面での自主性
管理職(使用者の利益代表者)が含まれていないことや、主たる目的が労働条件の維持・改善であることが求められます。 - 財政面での自主性
会社からの資金援助を受けていないことが大前提となります。会社の経費で成り立っているようだと、会社と対等に交渉することは難しくなるからです。
規約の要件
労働組合法では、組合の名称・所在地・役員選出方法・総会の開催頻度・会計報告方法など、定めておかなければならない事項を具体的に列挙しています。たとえば、「同盟罷業(ストライキ)」を行う場合には、組合員による直接無記名投票で過半数の賛成を得ることなど、民主的な手続きを踏む規定が不可欠です。
資格審査の流れ
- 必要書類の提出
「労働組合資格審査申請書」「組合規約」「役員名簿」「予算書・決算書」などを労働委員会に提出します。 - 事務局調査
労働委員会の事務局職員が組合の事務所などを訪問し、書面だけではわからない点をヒアリングします。 - 公益委員会議での審査と決定
提出書類や調査結果を踏まえて「要件を満たす」と判断されれば「適合決定」が出され、資格審査決定書などが交付されます。不適合と判断された場合は補正が求められたり、不適合決定が下りることもあります。
4. 弁護士に相談するメリット
労働組合の結成や団体交渉に関しては、法的に注意しなければならないポイントが多く存在します。とくに、不当労働行為の禁止やストライキの可否など、労働法に関する専門知識が必要です。そこで、労働問題に詳しい弁護士に相談するメリットをいくつかご紹介します。
- 最新の法令・判例に基づいたアドバイス
労働分野の法律は改正や判例の蓄積が頻繁にあり、最新情報を把握している弁護士に相談することで、正確かつ有益なアドバイスを得られます。 - 不当労働行為を避けるための助言
会社側が行う対応が不当労働行為に該当すると、労働委員会から救済命令を受ける可能性があります。一方で、従業員側も正当な争議行為の要件を満たさないと違法になる場合があるため、弁護士の助言によってリスクを回避しやすくなります。 - トラブル防止のための書類作成・契約書チェック
労働組合の規約や、団体交渉で会社と締結する労働協約などの書類には、法的な整合性が求められます。書類作成や内容チェックを弁護士に依頼することで、将来的な紛争リスクを大幅に軽減できます。 - 交渉の代理・サポート
団体交渉が決裂しかけた場合や、会社と従業員との間で意見が大きく対立した場合など、弁護士の代理交渉やサポートがあると、解決に向けてスムーズに話を進められる可能性が高まります。
5. 労働組合を作るときのポイント
労働組合の結成を検討する場合、以下の点を意識しておきましょう。
目的を明確にする
労働組合はあくまで「労働条件の維持改善」を図る組織です。個人的な不満や特定社員を攻撃するためだけの組合は、会社との間でさらなる対立を生むことがあります。
他の解決策との比較検討
雇用契約に関する問題を解決する手段は、労働組合による団体交渉だけではありません。たとえば、労働審判や労働裁判、労働基準監督署への相談など、状況に応じて複数の選択肢があります。「全従業員の地位向上」というより、個人的な残業代トラブルなどの解決が目的であれば、労働組合以外の方法も含めて検討するとよいでしょう。
管理職の参加に注意
労働組合の自主性を保つために、管理職(監督的地位にある者)の参加は制限されるケースが多いです。管理職が組合に加入すると、労働組合の要件を満たさなくなるおそれがあります。
専門家に相談する
労働組合結成や運営に関する法的リスクを避けるためにも、労働法に詳しい弁護士など専門家に事前相談しておくと安心です。特に会社側であれば、会社専門の弁護士に、従業員側であれば労働者専門の弁護士に相談するほうが、それぞれの立場に即したアドバイスを得やすいでしょう。
6. まとめ
ここまで、労働組合の基礎知識から、具体的な作り方や資格審査、費用、メリット・デメリット、そして弁護士に相談するメリットまでご紹介してきました。労働組合は、会社と従業員の間で「集団交渉」ができるという重要な役割を担います。個人的な要求だけではなく、会社全体の労働条件の改善に向けて取り組む点が大きな特徴です。
- 労働組合を法的に保護される形で作りたい場合は、労働組合法の要件を満たして労働委員会の資格審査を受ける必要があります。
- 任意の団体としての労働組合も結成可能ですが、法律上の手厚い保護が受けにくい点に留意が必要です。
- 会社側としては労働組合の存在を一概に敬遠するのではなく、従業員の声を吸い上げて改善していく大きなチャンスと捉えることができます。
- いずれの立場の方でも、労働法の専門家である弁護士に相談しながら進めると安心です。
当事務所(弁護士法人長瀬総合法律事務所)は企業法務部門として会社側のご相談に注力しております。 労働組合トラブルをはじめとする労働問題に精通し、Zoomなどを活用した全国対応も行っております。企業の方で労働組合の問題にお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
本記事が、皆様の労働組合結成や運営に関する疑問解消にお役立ちできれば幸いです。労働組合は会社にとっても従業員にとっても、うまく活かせば生産性向上や労務管理の適正化につながる手段です。何かあれば専門家に相談しながら、ぜひ円滑な労使関係を築いていってください。
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労働組合員に対する懲戒処分と不当労働行為の関係
Q&A
Q:労働組合員による行動を理由に懲戒処分を行った場合、これは不当労働行為に該当するのでしょうか?
労働組合の少数派による活動であっても、それが組合としての正当な活動にあたる場合は、不利益な処分を行うことで不当労働行為とみなされる可能性があります。ただし、その活動が「組合の活動」といえるかどうかは、一概に断定できません。企業としては慎重な検討が求められます。
はじめに
本稿では、労働組合員による行動を会社が懲戒処分した場合に、不当労働行為に該当するかどうかについて解説します。労働組合活動にまつわる問題は、企業と労働者の双方にとって重要でありながら、専門的かつ複雑な論点を含んでいます。特に、「本当に組合の活動なのか?」という点は、不当労働行為の成立を左右する争点となるため、十分な理解と慎重な対応が欠かせません。
ここでは、関連する法律や裁判例、学説を踏まえつつ、どのような場合に不当労働行為となり得るか、企業においてどのような点に注意すべきかを解説していきます。また、弁護士に相談するメリットや、実務上の重要なポイントも盛り込みました。ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。
目次
1.労働組合員への懲戒と不当労働行為の関係
不当労働行為の概要
日本では労働組合法によって、労働組合活動を保護するためのさまざまな規定が設けられています。その中でも重要なのが不当労働行為を禁止するルールです。労働組合法第7条では、使用者(会社)が組合活動を理由として労働者に不利益を与えることなどが厳しく制限されています。
たとえば、組合活動を理由にした解雇や降格、賃金の引き下げなど、労働者に対して不利となる処分は、不当労働行為に該当する可能性があります。企業としては、労働組合活動を「嫌がって」不利益を与えてしまうと、法律違反となるリスクがあるのです。
組合員による行動と懲戒処分
では、労働組合員が行った行動を理由に懲戒処分を行った場合はどうなるのでしょうか。ポイントとなるのは、その行動が「労働組合の活動」と認められるかどうかです。仮に組合員の行動が組合としての活動と認められる場合、それを理由に懲戒処分を行うと、不当労働行為に該当する可能性が出てきます。
2.「労働組合の正当な行為」の基本的な考え方
労働組合法第7条第1号では、使用者が「労働組合の正当な行為」に対して不利益な扱いを行うことを禁止しています。ここで重要なのは、「組合の正当な行為」とは具体的にどのような行為を指すかという点です。
組合活動が保護される理由
労働者は、使用者(会社)に対して圧倒的に弱い立場にある場合が多く、その権利を守るために団結して組合を結成し、交渉力を高めることが認められています。組合活動が十分に機能しなければ、労働者が公正な労働条件を得ることは難しくなります。そのため、労働組合の活動を保護する制度として不当労働行為の禁止が設けられています。
どこまで「正当な行為」か
組合員の活動が、組合としての活動に該当すると判断されれば「正当な行為」にあたり、使用者がこれを理由に懲戒処分などを行うと不当労働行為とみなされる可能性があります。たとえば、組合の方針に明示的に反していない場合や、独自の立場であっても団結権の行使として認められる場合には、正当な組合活動とされるケースがあります。
3.組合活動と認められる基準に関する裁判例
裁判例では、組合活動と認められるか否かについて、明確な統一基準が確立されているわけではありません。事案ごとに個別に判断されるため、過去の裁判例を総合的に参照する必要があります。
判例の中には、組合の明示の承認がなくとも、「黙示の承認」が認められる場合には組合活動として扱われるという考え方があります。たとえば、新規採用者に対する加入勧誘が黙示的に組合から承認されていたと評価された例や、職制批判などの記事を機関誌に投稿・掲載した組合員の行為を「組合の団結権擁護と地位の向上を図る目的である」として正当な活動と認めた例があります。
このように、少数派の活動であっても、組合全体の利益につながる行為、または組合が形式上黙認している行為であれば、「組合活動」と評価される可能性があるのです。
4.実務上の注意点
黙示の承認があれば不当労働行為となり得る
裁判例でも指摘されているように、少数派の活動であっても、黙示の承認が認められる場合には保護の対象になりやすいといえます。企業としては、「あの行為は本当に組合の活動とはいえない」と判断して懲戒処分に踏み切る前に、「黙示的に承認されている可能性はないだろうか」と慎重に検討する必要があるでしょう。
慎重な対応と事前対策
組合員の活動を不利益に取り扱う場合は、特にリスク管理が重要です。仮に懲戒処分を行う場合には、しっかりと根拠を整理し、それが**「組合としての活動」に該当しないことを証明できるかどうか**を慎重に検討すべきです。そのうえで、社内規定や就業規則に基づく懲戒事由を適切に適用できるかどうか、弁護士などの専門家と相談のうえで進めることが望ましいでしょう。
5.弁護士に相談するメリット
労働組合とのトラブルは、企業の運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に少数派による活動への懲戒処分が不当労働行為に当たるかどうかは、非常に微妙な判断を伴うため、法的な専門知識に基づいた検討が不可欠です。ここでは、労働問題において弁護士に相談するメリットを挙げてみます。
- 最新の法令・裁判例・学説に基づくアドバイス
不当労働行為の判断は、法律の条文だけでなく、過去の裁判例や学説の解釈によっても左右されます。労働問題に詳しい弁護士ならば、最新の裁判例や学説を踏まえてリスクを正確に見極めることができます。 - 紛争の予防と迅速な対応
労働組合との紛争を未然に防ぐためには、就業規則や懲戒規程などを明確に整備しておくことが重要です。弁護士に相談することで、事前にリスクの芽を摘み取り、問題が深刻化する前に適切な対応が可能となります。 - 交渉や労働委員会での手続きのサポート
万が一、不当労働行為として問題が提起された場合、労働委員会での審査や裁判において主張・立証を進める必要があります。法律の専門家である弁護士が交渉や手続きをサポートすることで、企業側のリスクを最小限に抑えられます。 - 複雑な法的手続きの一元管理
労働問題が深刻化すると、労働委員会や裁判所など、さまざまな機関とのやり取りが必要になります。弁護士に依頼しておけば、一連の手続きを一元管理して進められるため、企業としては本業に集中しやすくなるメリットがあります。
このように、労働組合とのトラブルに関しては、早めに弁護士に相談することで不必要な混乱やリスクを避けられる可能性が高まります。特に少数派による活動という難しいケースほど、専門家のサポートは重要です。
6.まとめ
労働組合内の少数派が行った行動を理由に懲戒処分を行った場合に、不当労働行為に該当するかどうかは、その行動が組合活動として認められるか否かによって大きく変わります。
企業が組合員の行動を問題視する場合は、以下の点を特に注意してください。
- その活動が「組合の正当な行為」として保護される可能性はないか
- 組合の明示もしくは黙示の承認が認められないか
不当労働行為に該当すると判断されると、懲戒処分の取消しや金銭賠償など企業にとって大きな負担となるおそれがあります。法令や裁判例を理解し、慎重に検討したうえで、必要に応じてお早めに弁護士に相談することが重要です。
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正当な争議行為の判断基準とポイント:経営事項に関するストライキの可否
Q&A
Q(企業経営者からの質問)
うちの会社の経営方針に関する問題でも、労働組合がストライキを打つことができるって聞いたんですけど、そんなことが本当にあるんですか?
経営そのものに口を出されると、ちょっと困るんですよね。そもそも、経営事項にまで労働組合が踏み込んでストライキを行うことは、法律的に許されるものなのでしょうか?
A(弁護士からの回答)
ご質問ありがとうございます。結論から申し上げると、経営に関する事項だからといって、必ずしもストライキが一切許されないわけではありません。重要なのは、その要求内容が労働条件と密接に関連しているかどうか、という点です。労働条件に影響を及ぼす経営判断(たとえば工場の閉鎖や外注化による雇用減少など)については、労働組合が正当な争議行為としてストライキを行うことが認められる可能性があります。また、使用者側が団体交渉に応じないといった場合に、それに対する抗議としてストライキが行われるケースも正当な争議行為となることがあり得ます。
一方で、特定の取締役の選任を迫るような、純粋に経営そのものに介入しようとする要求については、正当な争議行為としては認められない傾向があります。これらの判断は個別具体的な事情によって異なり、実務上は慎重な検討が必要です。
はじめに
本稿では、「経営事項」と「労働条件」にまつわる争議行為の境目や、正当なストライキと認められるための要件を解説します。さらに、経営上の大きな変更や人事に関する要求、外注化や合理化への反対がどのように法的に位置づけられるのか、実務上のポイントを説明します。
1. 正当な争議行為とは何か
ストライキをはじめとする「争議行為」は、労働者が労働条件の維持・改善を図るための合法的な手段です。憲法28条は労働基本権を保障し、労働組合法も組合による正当な争議行為を保護します。
争議行為が正当と認められるには、「労働条件の維持・改善を目的とする行為」であること、そして「社会的相当性」を欠かないことが一般的な要件と解されています。労働者側は経済的な弱者として保護される立場にあり、そのため、一定の枠組み内でストライキという手段が認められています。
2. 経営事項と労働条件の関連性
一見すると、経営事項は会社内部の経営者による専権事項であり、労働組合が口を挟むべきでないと考えがちです。しかし、現実には経営判断が労働者の雇用、給与、労働環境に直接影響を与える場合があります。
たとえば工場の閉鎖や外注化による人員削減は、労働者の雇用そのものを危機に陥れる可能性が高く、これは労働条件に深く関連します。そのため、「経営事項」であっても、労働条件に直結する事柄については、労働組合が争議行為を行う正当性が認められやすいとされています。
3. 経営事項への介入が問題となる場面
一方で、経営トップの選任や特定の取締役の解任・不選任要求など、純粋な経営政策上の人事権行使に組合が直接影響を及ぼそうとする場合はどうでしょうか。株式会社であれば、取締役選任は株主総会の権限であり、労働組合や従業員が直接関与するものではありません。こうした要求は、労働条件とは切り離された「経営そのもの」への介入とみなされやすく、正当な争議行為としては認められないことが一般的な解釈です。
4. 労働条件に関わる経営事項に対するストライキの正当性
逆に、工場の閉鎖や外注化、下請制への移行といった事項は、会社にとっては経営上の方針転換かもしれませんが、その結果として雇用形態や労働条件が大きく変わる場合、労働組合は正当な争議行為としてストライキを行うことが可能です。これは、単純に「経営権限の侵害」ではなく、「労働条件の維持・改善」という本来のストライキ目的に適合するからです。
5. 抗議ストライキの正当性
抗議ストライキとは、具体的な要求(賃上げ、福利厚生改善など)を必ずしも明示せず、使用者側の態度や行動に対する「抗議」を目的として行われるストライキを指します。たとえば、使用者が正当な団体交渉を拒否した場合、それに対する労働組合側の抗議行動としてストライキを行うことが考えられます。これは、団交拒否を改めさせ、健全な労使交渉を取り戻すという意味で、広い意味での労働条件改善行為と評価されることがあります。
6. 弁護士に相談するメリット
労使間の紛争は、経営事項と労働条件が複雑に絡み合うことが少なくありません。また、団体交渉やストライキの正当性、就業環境の安全性確保など、状況に応じて多面的な検討が必要です。
こうした場面で弁護士に相談することには、以下のようなメリットがあります。
- 専門的知見による的確な判断
労働法や判例に精通した弁護士が、要求が労働条件と関連するか、正当な争議行為とみなされうるか、事案に応じて的確な助言を行います。 - 早期のリスク回避・紛争防止
法律的に不確かな対応を取ることで、後々大きなトラブルに発展する可能性もあります。早い段階で弁護士が関与すれば、リスクを最小限に抑え、不要な紛争を避けられます。 - 交渉戦略の立案・実行支援
弁護士は、使用者・労働組合双方の立場での実務経験をもとに、交渉戦略をアドバイスし、法的に許容される範囲での最善の交渉方法を提案します。 - 最新の法改正や判例動向の把握
労働関係法規や裁判例は常にアップデートされています。弁護士を通じて最新の法的トレンドを把握することで、適正な対応が可能になります。
7. 本稿のまとめ
経営事項に関するストライキが常に不当かといえば、必ずしもそうではありません。争議行為の正当性は、要求事項が労働条件に密接に関連するか否かで判断されます。取締役の選任など純粋に経営判断に属する領域への介入は許されないとされる一方、合理化や外注化など、労働者の雇用や処遇に直接関わる場合には正当な争議行為となり得ます。抗議ストライキも、広く労働条件の改善や安全確保を求める行為として正当な争議行為に該当し得ることがあります。
実際には事案ごとの詳細な検討が必要であり、当事者が独自に判断するには限界があります。法的リスクを低減し、適正な対応をとるためには、労働法分野に精通した弁護士のサポートが有益です。
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