相談内容
当社では、公的機関が公表する「モデル就業規則」を利用しています。モデル就業規則ですから、そのまま使用することで特に問題ないと考えています。
それでも就業規則をチェックしたり、見直したりする必要はあるのでしょうか。
回答
就業規則は、労働問題の防止と社内体制の構築のために非常に重要です。
「モデル就業規則」は、必ずしも企業の実情やニーズを反映したものではなく、そのまま利用することが望ましいとはいえません。
企業の業種や企業規模、今後の人事労務体制を見据えて、各企業に合った内容の就業規則をオーダーメイドで作成する必要があります。
一方、就業規則の内容は、法改正や重要な裁判例を踏まえてチェックする必要もあります。一旦作成した就業規則を変更することは容易ではありませんので、就業規則の作成・改訂は慎重に行わなければなりません。
就業規則の作成・改訂は、使用者側労働問題に特化した弁護士に相談することをお勧めします。
就業規則は労働問題の予防と社内体制の構築のために必須です
労働問題の予防の重要性
「労働問題の予防方法」でも解説したとおり、労働問題への対応を誤れば、会社の経営全体を揺るがすトラブルにも発展しかねません。
長年にわたって苦楽を共にしてきた従業員との間で深刻な労働問題が発生した場合、その対応と解決には、経営者・法務部・人事部、そして現場にとっても、多大な精神的・経済的・時間的コストがかかるだけでなく、深刻な信用リスク(レピュテーションリスク)にもさらされることになります。
就業規則の役割
労働問題を予防し、深刻な労働問題のリスクを回避するために重要な役割を果たすものが就業規則です。
就業規則は、企業のルールともいえます。労働条件、服務規律、退職・解雇の要件や手続等、労働者が企業で勤務するための様々なルールを統一的に定めたものです。
就業規則で決めた内容は、労働者との契約内容になります。
労働者は就業規則に決められた内容に従う義務を負う一方、使用者側も就業規則に定めた内容を守らなければならないことになります。
就業規則は、労使双方の約束事であり、慎重にその内容を検討する必要があります。
就業規則はオーダーメイドで作成する必要があります
就業規則の重要性
就業規則は、いわば会社のルールであり、労使双方が守るべきことを取り決めるとても重要な役割を有しています。
就業規則の作成手続きは法律で決まっていますが、労働問題を予防するためには、単に就業規則を作成すればよいというものではありません。
就業規則の内容が、企業のニーズに合ったものとなっていなければ、就業規則があっても企業にとって有用でないばかりか、かえって企業のニーズに合わない内容となっていると、企業の負担ばかりを増やすことになりかねません。
例えば、厚生労働省は「モデル就業規則」を公表していますが、「モデル就業規則」は、企業規模や業種等に合わせて作成されたものではありません。
就業規則の作成を検討している企業が「モデル就業規則」の想定する企業規模等と異なる場合には、「モデル就業規則」をそのまま利用すると、かえって企業にとって重荷となりかねません。
一例を挙げれば、法定労働時間を超過した場合における賃金の割増率を法定割増率以上に設定することは、労働者にとってはプラスですが、企業にとっては法定割増率以上の負担をすることになり、人件費の負担が大きくなってしまうことになります。
これらの労働条件を慎重に検討せず、安易に「モデル就業規則」を利用したり、労働者にとって望ましい内容ばかりを設定したりすれば、企業側で労働問題を予防することができないことになります。
就業規則の作成は、労働問題の予防にとって極めて重要であり、慎重に検討しなければならないものです。
なお、以下のような企業は、就業規則が実態に合っていない可能性がありますので、早急に就業規則の作成・改訂を検討するべきでしょう。
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就業規則の変更は容易にはできない
仮に、一旦作成した就業規則に問題があっても、あとで修正すればよいのではないかと考える方もいるかもしれませんが、リスクが高いと言わざるを得ません。
就業規則は、一旦作成すると、労働者の労働条件となります。就業規則を変更するということは、労働条件を変更することになり、労働者の同意を得るなど、法律で定められた要件を満たさなければならないことになります(労働契約法9、10条)。
労働条件の変更は、厳格な要件を定められており、決して容易ではありません。
したがって、就業規則をこれから作成するのであれば、くれぐれも安易に作成することは避けるようにしましょう。
就業規則の作成・見直しは労働問題に特化した弁護士にご相談ください
このように、就業規則は労働問題の予防と社内体制の構築のためにも重要ですが、その変更は容易ではないことから、慎重に作成・見直しをする必要があります。
就業規則の作成・見直しをする場合には、使用者側労働問題に特化した弁護士に相談することをお勧めします。
就業規則を利用して労働問題を予防するためには、そもそもどのような点が労働問題に発展する可能性があるのか、また労働問題に発展したとしてもどのような就業規則の内容になっていれば予防することができるのかを熟知している弁護士のアドバイスが不可欠です。
弊所では、100社を超える企業と顧問契約を締結し、多数の就業規則の作成や見直しのサポートをしてきたノウハウがあります。
サポート内容
- 就業規則を見直し、貴社のニーズに沿って作成・改訂いたします。
- 就業規則の作成・改訂にあたっては、以下の手順で実施いたします。
① 貴社の業種・従業員数をヒアリングします。 ② 貴社の現在の労務管理体制をヒアリングします。 ③ 貴社の求める今後の労務管理体制、人事評価制度等をヒアリングします。 ④ 貴社の要望にあった就業規則案を弊所から提案します。 ⑤ 弊所の提案する就業規則案を貴社の経営者・法務担当者・人事担当者等と面談の上、ご説明します。 ⑥ 弊所との面談を踏まえ、さらに就業規則の内容を貴社の実情に沿う形に修正していきます。 |
労働関係諸法は、法改正が頻繁に行われます。また、労働問題に関する重要な裁判例も次々と出されており、場合によっては貴社の従前の就業規則が無効と解されることもあり得ます。
就業規則を一旦作成しても、定期的に見直しを行わなければ貴社の想定する労務管理体制を構築することはできません。
弊所は、使用者側労働問題に特化した弁護士が複数所属しており、これらの重要な法改正や裁判実務の変遷にも対応することが可能です。
弁護士費用
サポート内容 |
弁護士費用 |
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就業規則作成・チェックサポート (スポットでご依頼いただく場合) |
10〜20万円 |
就業規則作成・チェックサポート (顧問契約をご締結いただく場合) |
顧問契約費用の範囲で対応します(※) |
※ 顧問契約プランによって1ヶ月あたりの対応時間・サポート範囲が異なります。
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