法的な労働関係における解雇の要件とケース

ご相談

当社では、成績や勤務態度が悪い従業員の解雇を考えていますが、解雇ができる条件は限られているようです。解雇が可能な場合とはどのような場合なのか、教えていただけますか。

ポイント

解雇には法的な要件が厳しく設けられています。容易に解雇することはできません。労務の専門家である弁護士のアドバイスを受けつつ進めることをおすすめします。特に多い相談業種は以下の通りです。

  • 建設業
  • 製造業
  • 情報通信業
  • 運輸・郵便業(トラック運送業)
  • 卸売・小売業
  • 金融業・保険業
  • 不動産・物品賃貸業
  • 宿泊・飲食業(ホテル・飲食店等)
  • 教育・学習支援(塾・予備校等)
  • 医療・介護福祉業
  • サービス業

※業種にかかわらず、解雇に関する相談が多く寄せられています。

普通の解雇が可能な場合

労働契約法第16条は、合理的で社会通念上相当な理由がない限り、解雇できないことを規定しています。不当解雇を避けるための措置です。では、どのような場合に解雇が可能になるのでしょうか。以下にいくつかのケースを示します。

傷病・健康状態の悪化による労働能力の低下

このケースでは、従業員が業務をこなせないほど重篤な身体・精神の障害がある場合が考えられます。ただし、その程度は極めて重大で、労働が不可能な状態である必要があります。多くの企業では、休職制度を活用し、解雇前に休職や自然退職を検討します。

能力不足・成績不良・適格性の欠如

会社の業務に適切な能力や適格性を持っていない場合、解雇が検討されます。ただし、解雇の根拠は客観的な資料で裏付けられ、指導・注意による改善の機会も与えられている必要があります。

職務懈怠・勤怠不良

無断欠勤や遅刻、勤務態度の問題などが解雇の理由となります。これにも客観的な資料が必要で、会社の指導や改善措置の記録も重要です。

職場規律違反・不正行為・業務命令違反

上司や同僚への暴行・妨害などが含まれます。これは労働者の非違行為であり、重大な場合、直接的な解雇理由につながることもあります。ただし、事情を詳細に調査し、証拠を集める必要があります。

整理解雇における不当解雇

整理解雇は、特定の要件を満たす場合に行えるものです。次の4つの要件を満たす必要がありますが、その際には証拠資料が重要です。

① 人員削減の必要性があるかどうか

余剰人員を削減する必要があるかどうかを判断します。ただし、企業の倒産を回避するために必要とされる場合に限られません。

② 会社が解雇回避努力義務を行ったかどうか

解雇は最終手段であり、会社は他の選択肢を検討する義務があります。人件費削減策なども含めて、努力が求められます。

③ 解雇される人物を選んだことに相当性があるか

解雇される従業員の選定は恣意的でないことが求められます。合理的な基準で選定される必要があります。

④ 労働者・労働組合への説明・協議を十分におこなったか

解雇の意思決定プロセスを透明に説明し、従業員や労働組合との十分な協議を行う必要があります。

懲戒解雇における不当解雇

懲戒解雇は普通解

雇に比べて厳格な要件が求められます。解雇が有効かどうかは、従業員の言い分も聴きながら、慎重に検討する必要があります。

解雇の検討には労働弁護士のアドバイスが不可欠です。誤った解雇は労働審判や民事訴訟を引き起こす可能性があり、会社に多大なコストとリスクをもたらす可能性があります。解雇を検討する場合は、労働弁護士との協力をおすすめします。解雇を進める場合も含めて、労使トラブルを防ぐために顧問契約の締結をご案内しています。

 


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