Q&A
Q:最近、カスタマーハラスメントの問題が増加していると聞きますが、どのようなケースがカスハラにあたるのでしょうか?また、企業としてどのように対応すべきか教えてください。
A:カスタマーハラスメント(カスハラ)は、顧客からの不当な要求や暴言・暴力行為により、従業員の働く環境が損なわれる問題です。近年、SNSの普及などにより消費者の権利意識が高まる一方で、企業への過度な要求や攻撃的な行為が増えつつあります。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、企業が取るべき具体的なカスハラ対策や法的な観点からのアドバイスを提供し、従業員の働きやすい環境を守るお手伝いをいたします。従業員保護の観点から、企業は「安全配慮義務」を果たすために適切な対応を取る必要があります。
カスタマーハラスメントとは?
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客が従業員や会社に対し、不当な要求や威圧的な行動をとることで従業員の働く環境を著しく損なう行為を指します。具体的には以下のような行為が該当することがあります。
- 不合理な要求:商品の不備に対する謝罪を超えた過大な要求や、高額な慰謝料の請求など。
- 過剰なクレーム:正当な理由がないにもかかわらず、執拗に謝罪や土下座などを求める。
- 威圧的な態度:長時間にわたる拘束や暴力的な発言、差別的な言動。
近年のカスハラ増加の背景
カスタマーハラスメントが増加している背景には、SNSの普及や消費者の権利意識の高まりが影響しています。顧客がSNSで企業や従業員に対して批判を発信することで、企業側が過度に慎重になり、結果として不当な要求に応じてしまうケースが見受けられます。また、顧客からの対応要求がエスカレートしやすくなり、従業員が精神的な負担を感じやすい環境が生まれているのも実情です。
カスハラが該当する行為の基準
以下のような行為があれば、カスハラに該当する可能性があります。
- 要求内容が不当である:企業が提供するサービスと無関係なことや不合理な要求。
- 要求手段が過剰である:暴力や脅迫、長時間拘束、土下座の強要、差別的・侮辱的な発言。
企業として取るべきカスハラ対策
1.基本方針の策定と従業員への周知
企業はカスハラに対する基本方針を明確に定め、従業員に対して徹底的に周知することが重要です。この基本方針には、以下の内容を含めると良いでしょう。
- カスハラに対して毅然とした対応を取ること
- 従業員がカスハラ被害に遭った場合、速やかに相談できる窓口を設けること
- 社内の関連部門や法的支援機関と連携をとる体制を整えること
2.相談窓口の設置と体制整備
従業員がカスハラ被害を受けたときに適切に相談できる窓口を社内に設置し、カスハラの具体例や対応の流れを周知します。相談窓口を設置することにより、迅速な対応が可能になり、従業員の心理的負担を軽減することが期待されます。また、弁護士など外部機関との連携も有効です。
3.対応マニュアルの作成
カスハラに対する対応を標準化し、従業員がどのような手順で対応すれば良いかを明確にしたマニュアルを作成します。例えば、深刻な場合には上司が対応する、特定の顧客には複数名で対応するなど、労働者の安全に配慮した対策を具体的に示すことが求められます。
4.カスハラ対策研修の実施
従業員がカスハラへの対処法を学ぶための研修を実施することで、適切な対応力を養います。さらに、研修では法的な観点も含めて、どのようなケースが法に抵触するかなどを理解させると効果的です。
カスタマーハラスメントとクレームの違い
- カスタマーハラスメント:従業員に対する嫌がらせが主な目的で、不合理な要求や暴言が含まれることが多い。
- クレーム:企業の改善を求める正当な目的があり、内容も合理的で、改善点があれば企業にとってプラスになる場合が多い。
弁護士に相談するメリット
カスハラ対策について弁護士に相談することは、企業にとって非常に大きなメリットがあります。
- 法的リスクの回避:弁護士による事前のアドバイスや対応策により、法的リスクを未然に防ぐことができます。
- 専門的な支援:従業員が安心して働ける環境を守るための支援を受けられます。特に、カスハラが犯罪行為に該当するケースについては、法的対応を行うことで企業の安全と信用を確保することが可能です。
- トラブルの迅速解決:従業員の精神的負担を軽減し、トラブルが長引くことを防ぎます。
カスタマーハラスメント対策に関するまとめ
カスタマーハラスメントの増加により、企業はこれまで以上に従業員の安全と働きやすい環境を守る対策が求められています。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、企業がとるべき対策や、適切なカスハラ対策についてのサポートを提供し、企業の安全と従業員の安心を守るお手伝いをいたします。
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