団体交渉で避けるべきポイント7選

はじめに

企業が労働組合と向き合う際に避けて通れないのが団体交渉です。団体交渉は従業員との関係構築に有益な場ですが、一歩対応を誤ると、企業に不利な状況を招くリスクも伴います。ここでは、企業経営者の立場から、団体交渉で特に気を付けるべきポイントを解説します。企業が抱えがちな問題点やその回避方法を知り、効果的に労使関係を管理しましょう。

Q&A

Q1.団体交渉における基本的な流れと注意点は何ですか?

A1.団体交渉は、企業と従業員の間で労働条件や職場環境について話し合う場であり、双方の権利を尊重することが重要です。交渉の際には、適切な準備と明確な態度を示し、企業に不利な状況にならないよう、冷静で法的に正しい対応が求められます。特に交渉の進め方や言葉の選び方には十分な注意が必要です。

団体交渉とは

団体交渉は、労働組合が労働条件の改善などを目的に、使用者に対して交渉を求めるための制度です。労働組合法に基づき、労働組合は組合員の労働条件改善を図るため、企業と話し合いの場を持つことが認められています。交渉内容は労働条件の変更や賃金改定、職場環境の改善要求などさまざまで、適切に対応しないと「不当労働行為」とみなされ、企業が法的責任を負う可能性があります。団体交渉の基本を理解し、準備を整えておくことが重要です。

使用者側・企業側が団体交渉で避けるべきポイント7選

1.業務時間内に交渉を行わない

団体交渉を業務時間内に行うことは、企業にとっても業務の中断や賃金支払いの問題を引き起こしやすくなります。交渉時間が長引く場合、通常業務が影響を受けるため、基本的に就業時間後に設定し、交渉は約2時間程度を目安とするのが望ましいです。業務外の時間に実施することで、通常の業務運営に支障をきたさないようにしましょう。

2.交渉の場所を労働組合の事務所や社内にしない

労働組合から社内や労働組合事務所での交渉場所の要望があっても、中立的な第三者施設で行うのが適切です。社内や労働組合の施設は、組合側に心理的な優位を与える可能性があります。また、交渉が長引きやすく、互いに冷静な判断ができなくなることもあるため、交渉は公共の会議室などを指定し、中立的な環境を確保しましょう。

3.上部団体役員の出席を拒否しない

労働組合法では、上部団体の役員が交渉に出席することを認めています。会社担当者の中には、会社外の人間が参加することに疑問を抱く場合もありますが、労働組合側が参加を希望する場合はこれを拒否できません。拒否すると、違法行為として労働組合が抗議するだけでなく、最終的に企業側に不利な交渉状況を招く可能性もあるため、上部団体役員の参加は認めましょう。

4.組合員が不明確でも交渉を拒否しない

企業側が「どの従業員が組合員か」を理由に交渉を拒むのは避けるべきです。労働組合は組合員の詳細を公開する義務がないため、交渉開始時点で特定の組合員が明らかでなくても交渉に応じる必要があります。もし組合員の詳細が不明であっても、企業側が交渉を拒否すると不当労働行為と見なされるリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

5.十分な準備をせずに交渉に臨まない

労働組合からの突然の交渉申入れに、企業側が準備不足のまま応じることは禁物です。交渉内容や要求事項を確認し、会社の意向や現実的な対応策を整理してから交渉に臨むようにしましょう。急な申入れに慌てず、「団体交渉の申入れについて検討中である」旨を一度伝え、交渉日時を調整して十分な準備期間を確保することが重要です。

6.書類への安易なサインはしない

労働組合が交渉内容について議事録や合意書へのサインを求めてくる場合がありますが、安易にサインすると労働組合にとって都合の良い形で利用される可能性があります。交渉終了後、内容を再度確認し、経営陣の意向を確認した上でサインすることが大切です。不十分な合意のサインが後に労働協約と見なされるリスクを避けるためにも、必ず内容を慎重に精査しましょう。

7.労働組合の要求を全て受け入れない

団体交渉では労働組合からの要求をそのまま受け入れず、合理的な根拠をもとに対応することが大切です。使用者には誠実交渉義務が課されていますが、すべての要求に応じる義務があるわけではありません。企業にとって難しい要求には、資料を提示し、具体的な事情を説明して断ることで、不当労働行為を回避しつつ企業の立場を守ることができます。

弁護士に相談するメリット

団体交渉においては、交渉の進め方や対応の仕方次第で企業に有利・不利な状況が生じます。特に労働法に関する知識や経験が不足している場合、法律を十分に理解しないまま交渉に臨むことで、不当労働行為とみなされるリスクや企業の立場が不利になるリスクが高まります。弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 専門的なアドバイスが受けられる
    労働法に精通した弁護士から、最新の法律知識に基づいた適切なアドバイスを受けられ、企業が法的に守るべきポイントや注意点を具体的に把握できます。
  • 法的リスクの軽減
    労働組合法や団体交渉に関する法的な誤解や誤判断を回避でき、企業の法的リスクを最小限に抑えることが可能です。
  • 交渉戦略の策定
    労使交渉における戦略的な対応方法を計画することができ、企業が望む結果を得るための交渉スキルが向上します。
  • 不当労働行為の回避
    弁護士が不当労働行為とみなされるリスクを未然に防ぐアドバイスを行うため、企業の信用を守り、健全な労使関係を構築できます。

団体交渉は、法的に複雑でトラブルの要因にもなりやすいため、専門家のサポートを受けることが賢明です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、企業側の法的リスクを最小限に抑え、適法で実効的な団体交渉対応を支援しています。

まとめ

団体交渉は、企業と従業員の関係を適切に維持するために重要な場であると同時に、対応を誤れば企業にとって不利な結果をもたらすこともあります。本稿で紹介した「団体交渉で避けるべきポイント」を参考に、慎重に対応しながら交渉を進めていくことが大切です。団体交渉の準備や対応が難しい場合には、弁護士に相談し、法的リスクを軽減しながら交渉を行いましょう。

リーガルメディアのご案内

弊所が運営する「リーガルメディア」では、労働法に関する有益な情報を提供しています。企業法務や人事労務・労務管理に関心のある方々に役立つ情報を発信しています。

【企業法務リーガルメディアはこちら】


お問い合わせ|ご相談はお気軽に

【お問い合わせはこちら】

その他のコラムはこちらから

【人事労務コラム】


長瀬総合の顧問サービス

リーガルメディアTV|Youtube

お問い合わせフォーム

メルマガ登録

問い合わせフォーム

トップへ戻る

牛久本部電話番号リンク 日立支所電話番号リンク 水戸支所電話番号リンク 守谷支所電話番号リンク